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韓国映画は「風吹く良き日」、韓ドラは「冬ソナ」に限る(2)

8月12日から韓国MBCでソン・ユナ主演のドラマ、「ヌナ(お姉さん)」を放映しています。ソン・ユナは日本では「ホテリア」の中心人物として韓ドラファンには知られている女優さんです。ドラマのストーリーは、突然父親を事故で無くしてしまった(父親は失踪してしまった)家族の長女(才能ある大学院生)が苦労しながら生きてゆくものらしいのですが、「富の追及を最優先する価値観が広まっている現在の風潮にあって、人生の目標について改めて考えさせられる」(スポーツ朝鮮)という内容が地味なためか、初回の視聴率が5%以下と苦戦してもいるようです。私は先の土曜日にMBCの再放送をストリーミングして見ましたが、気持ちがうまくドラマに入り込めませんでした。

もともとシリアスな顔つきで少し暗いソン・ユナがこの設定で熱演しても、ドラマが重くなるだけではないかと思うのです。ホテリアでは、ペ・ヨンジュンが演じるM&Aの仕掛け人との恋にドタバタと悩みながらも、非情なヨン様を「更正」させてゆく(家族とか情とかがキーポイントになります)プリティーウーマンを演じてとてもよかったのです。

韓国ドラマは日本のドラマよりもステレオタイプに陥りがちです。交通事故、自殺、主要人物の入院(時に不治の病=でも直る場合もある)で大きく動く物語、出自と育ちに関する秘密、異母兄弟姉妹宇、家族の葛藤、三角関係や四角関係、ドラマ展開における主要人物の海外への移動(空港でのすれ違いも)、海辺ではしゃぐ男女の幸せな時間(「チャングムの誓い」にさえあります)、情と恨(果たせぬ夢)・・・。これらに、中年以上の俳優不足(本当に中年以上の役者数が足りないのです)による同じ顔の八方美人的な活躍(韓国で「八方美人」は褒め言葉)が加わり、それが韓ドラの「決まりごと」になっています)。

あの「冬ソナ(原題は「冬の恋歌」)」も、これらステレオタイプの要素をすべてもっていました。ただ、それでも冬ソナは違っていたのです。ただ、冬ソナだけが(日本人にとって)韓ドラにして韓ドラを越えていたと、私は思うのです。
 

冬ソナが日本で大ブレイクしたのは第一にヨン様の魅力にあると思いますが(あの、少女漫画から抜け出てきたような「ミニョン」はなんでしょうか?)、それだけでは冬ソナは語れません。私はこの7月に何度目かの冬ソナの「通し見」を行いましたが(NHKBSで放送された完全版・字幕付です)、冬ソナには私の年代の男性をもひきつける魅力があるのです。

まず、あの高校の「制服」と高校生たちの姿。ドラマの舞台は確か90年代はじめに設定されていると思われますが(民主化・直接大統領選挙そしてソウルオリンピックの後です)、それが私の高校時代に良く似ている。あの春川市にある高校など、まるで私が通った高校です。冬ソナを見て、高校時代のさまざまな思い出が蘇ったのは私だけではないと思うのです。冬ソナは「私のこと」にもなりえるのです。

次に優れている点は、ドラマの舞台です。ソウル-春川-龍平という主要舞台間の距離が絶妙です。近からず遠からず、登場人物の感情の動きによって自在に移動できる距離が、物語に地理的緊張感を生んでいます。春川の漢江の島にある公園(メタセコイアの並木がきれいです=いま管理権を巡って春川市と郡でもめているそうですが)も、不思議な場所となっています。

そして、チェ・ジウ演じるユジンの優柔不断! あいまいに低く発せられる「オー」っていう返事の仕方(これ吹き替え版では駄目です)。結構引き込まれます。さらに、これでもかこれでもかというくらいにミニョンとユジンとサンヒョクによって発せられる決めの台詞・・・・。

時間の「飛び方」も良いのです。高校卒業から大学を出て社会人になるまでの時間が「飛んでいた」ことでドラマは劇的に時代を画しました。10年という時間ですが、韓国社会は大きく変化しています。ITが社会の隅々まで行き渡り、携帯電話の存在もドラマの構成を大きく変えました(ただ、ユジンがスキー場ではじめのうちニコンのフィルムカメラを使っていたのは、たとえ、できあがったサービスプリントをミニョンが見てしまうという伏線があるとしても納得できません。あの場面の後、ユジンはちゃんとデジカメを使っているし・・・、そうそう、ニコンのカメラにソニーのネックストラップも変です)。

以上に加え、既に挙げた韓国ドラマのお決まりの要素が冬ソナを彩りますが、出生の秘密などは、本当に最終回直前まで分からないし、海辺でのシーンも「ポラリスのネックレス」の捨て方も絡んでうまく出来ています。要するに「お決まり」がギリギリまでに利用されて物語を盛り上げているのです。交通事故や病院の使い方もうまい。日本や韓国で一部指摘されている日本の作品(および音楽)からの盗作問題の箇所すら、「お決まり」として処理されているようで、私は気になりません(私は「タッチ」からのイメージの借用もあると思うのですが・・・)。

 ようするに冬ソナは、韓ドラのひとつの頂点なのです。

 そして、私は冬ソナを見ると不覚にもウルウルしてしまうのです。
 韓ドラは冬ソナに限ります。

※韓流ドラマで、冬ソナと双璧をなすと思われる「大長今(チャングムの誓い)」については、とても面白く、放送時間が待ち遠しいほどでしたが(NHKBSで見終わっています)、時代考証に無理が見られるときがありますし、食材もかなり変でした(リンゴや梨が大きすぎるし、ミドリガメ=北米産の「アカミミ亀」すら食材として登場しています)。強行軍撮影の影響もあると思われますが、朝鮮王朝時代の研究も進んでいるはず、俳優たちが好演・熱演しているのだから、「ケンチャナヨ」で済ますことなく制作してもらいたかったのです。

 

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